こだわり抜く無添加と手作業。
夫婦二人三脚で、室戸から世界に発信!室戸びとに愛され続ける味



扉を開けると油で天ぷらを揚げるいい匂い。

室戸で「天ぷら」というといわゆる野菜やエビなどの素材そのままに衣を付けて揚げたあの「天ぷら」ではなく、「山本かまぼこ店さんの天ぷら」(魚のすり身を揚げたもの、さつま揚げ)を思い出す方が多いと思います。

それくらい地元民に愛されている山本かまぼこ店。創業は1938年で今の正幸さんで3代目。社長の山本正幸さんと、取締役で妻の朝子さんがお店を取り仕切っています。



【どこまでも「いごっそう」なこだわりの秘密】


工場では老若男女さまざまなスタッフが分け隔てなく作業しています。

作業は全て手作業。みんな手慣れた様子でテキパキ動いています。

てっきり熟練の職人だと思って作業を見学していた方は、なんと先代のご夫婦でした!役職は譲ったものの毎日のように現場に出てくれているそうです。


妻の朝子さんが言います。

「うちの商品はね、数が作れなくてもやっぱり手作業にこだわりたいんです。」


山本かまぼこ店の商品の基本は「いごっそう」。
土佐弁で「頑固正直」という意味です。


商品作りのこだわりは手作業にとどまらず、「魚や塩や水、材料にもこだわっています。水は地下水を汲み上げて使ってますし、油はこめ油で素材の旨味を生かしています。」


山本かまぼこ店の天ぷらは、油で揚げてるのにひつこくなくて胃もたれが全くない優しい味。


特にかまぼこトーフは類を見ない美味しさでわたしも家族もみんな大好きな商品です。山本かまぼこ店の商品は室戸の学校給食でも使われており、室戸で育つ子どもたちは小さな頃から親しんでいる味なのです。

「天ぷらもすまきも、食卓の主役になるもんやないでしょ?主役にはならないけど、毎日飽きずにみんなに便利に使ってもらいたいと思って。ほら、煮物らあに入れたら味がまろやかになるし。」

ニコニコと愛おしそうに商品について語る朝子さん。聞いてるだけで優しい温かい気分になります。


【時代を察知しながら柔軟に変化し守り伝えていく味】



「今日はすまきがいつもより多く注文が入ちゃってちょっと忙しいんですよ。」

いつもより忙しいと言いながらも、朝子さんの笑顔のように現場はとても和やかです。

「みんな命令したり強制したりせんでも、自分で仕事を見つけて動いてくれます。考えて動いてくれるから、段取りも臨機応変にできるんです。」



「そういえば、このすまきも4月から原料を天然着色料に変えたんです。今まで、このピンク色のすまきだけは合成着色料を使ってたんやけど、やっと変えたんです。


そしたら、賄いというか休憩の時におやつ代わりに形が不良になった商品とかみんなでつまんで食べるんですけど、今まですまきに手を出さなかったスタッフが「これ美味しいね、味が変わったね」と気づいて食べるようになったんです。」

「練り物って各土地にその土地の商品があるでしょ?うちの商品が室戸の土地の味やと思ってもらえたら嬉しい。ほんで「うちの味」って絶対変わらないものやなくて、実は何年もかけて色々変えているんです。味がガラッと変わってしまわないように少しずつやけど改良は常に続けているんです。」



「変わらぬ味」ではなく「変わりながら守り伝えていく味」。時代を察知しながら柔軟に変化していく山本かまぼこ店のたくましさを感じます。

店の入り口には、息子さんたちが小さな頃作った作品が、商品が受賞したトロフィーと一緒に飾られています。




息子さんたちに家業を継いでほしいですか?

思い切って聞いてみました。

「前までは息子らも全然家業に興味なんてなさそうだったんですよ。でも海外での商談会に連れて行ってみたら、自分らあの家の商品が海外の方に認められて、どんどん買われていくのを目の当たりにしてちょっと意識が変わったかなと思っています。」


「無理して継げとは言えんし、先のことはまだまだ分かりません。ただ、本人らが継ぎたいと言ってくれた時に戻ってこれる、事業継承ができる環境を作っておきたいなと。だから職人も若い人をどんどん入れて育てていかないかんと思ってます。」




【時代をつかむハラル認証、コロナ禍さえもプラスに昇華。室戸山天のかまぼこが世界へ】

山本かまぼこ店の商品、実はシンガポールやマレーシアでも売られています。ご存じでしたか?

「高知県のサポートで、うちのおでんがシンガポールに行ってます。常温で日持ちする商品です。あとハラル認証(※)も取ったので、カタールやアラブ首長国連邦のドバイなんかの中東の国にもうちの商品の出荷の話があって。行ったこともないんやけど、本当にありがたいことです。」

※ハラル認証とは、
宗教と食品衛生の専門家(ハラル認証機関)が対象の製品がハラルかどうかの検査をしてハラル性を保証する制度。
製品にイスラム教で禁止されてる豚やアルコールなどの成分が一切含まれていないことを保証するだけでなく、その製品の製造環境・品質・プロセスを含む
全てがイスラム法に則り基準をクリアしているという意味があります。(ハラル・シャパン協会より引用)


イスラム教徒は世界の全人口の4分の1を占めるとも言われています。
時代に乗ってどんどん販路を開拓していく様子は尊敬しかありません。

コロナ禍での影響はありましたか?

「うちでもコロナ感染者が出てしまい大変でした。でもその時に、
みんながよく触る場所とか徹底的に加工場の導線を見直して
衛生環境を改善したんです。
だから結果的に良かったと思っています。」

マイナスと思える出来事をプラスに捉える姿勢。お話をうかがっている間ずっと、朝子さんからは常に前向きに物事を捉える発言がありました。

「コロナ禍で外食産業が打撃を受けたでしょう?うちも大口の取引は多少影響あったんですけど、逆に県内外の飲食店さんなどからの直接注文は増えたんです。うちのかまぼこなどの商品は解凍さえしなければ冷凍だと一年間の賞味期限があります。コロナ禍で、お店側も食品ロスをより少なく提供できる商品を使いたいみたいで逆に取引が増えたんですよ。」

そこへ仕事がひと段落した社長の正幸さんがやってきました。インタビュー交代です。


【自称かまぼこオタク!?な社長が新商品を生み出すまで】


「僕はね、自称かまぼこオタクなんですよ。」

かまぼこオタク?

「そもそも室戸でかまぼこ文化が栄えたのは、操業中も手軽に食べることができる食糧として、遠洋マグロ船の漁師から重宝がられ積み込まれた歴史があるからなんです。そんな室戸ならではのかまぼこの歴史を僕はすごく大事に思っていて、商品の商談会でも必ずこのお話をするようにしています。」

開口一番自称かまぼこオタクと言いながら、次々かまぼこを語る正幸さん。


「僕は実は室戸の生まれではなくて、朝子と縁があって結婚してこちらに来ることになったんです。室戸の歴史もかまぼこのことも結婚してから知りました。マグロ漁船の歴史はすごいロマンというか夢があって、マグロは当時「黒い宝石」と呼ばれていました。


中学を卒業して、漁師としてマグロ船に乗って家を建てたようなすごい人がたくさんいる。僕はやったらできる、行動から始まるといつも思っていて、まずやってみようという気持ちでいつも動いています。」



2021年に「高知家のうまいもの大賞」を見事受賞した「室戸山天の魚ん棒」はまさに社長正幸さんのオタクっぷりとやってみよう精神が存分に発揮された商品です。

※室戸山天の魚ん棒は室戸びと進むECサイトでは現在お取り扱いしておりません。今後仲間入りするかも!?

かまぼこの原料となるスケトウダラなどの魚は、室戸では獲れない北洋の海で獲れる魚が多く、そのほとんどを海外からの輸入に頼っているそうです。

コロナ禍に加え、最近のウクライナ情勢、ヨーロッパでの魚食の流行やそもそも原料となる魚の不漁など色んな要因が重なり、今まで通りの原料仕入れに不安が出てきたそうです。

正幸さんは

「いつまでもよそから入ってきたもんに頼ってたらいかん。」

と新商品の開発を始めたそうです。

「地元の定置網で獲れる魚を原料にして商品を作れないか?」

定置網の組合や高知県工業技術センターにも協力してもらい、南洋の魚「シイラ」に的を絞り開発を続けました。



「どうやったら美味しくできるか?追求するのが好きで、楽しみながら仕事をしてるんです。」

本当に楽しそうに話す正幸さん。

工場にとても大きな石の臼がありました。




「シイラをすり潰すのはね、これでないと。石のこの臼でないとだめ。」

と断言する正幸さん。色んな作り方や道具で、何度も何度も試行錯誤を重ね完成したのが「室戸山天の魚ん棒」なのです。


【正幸さんと朝子さん、仕事もプライベートもずっと一緒にいる秘訣とは?】


仕事もプライベートもずっと一緒の正幸さんと朝子さん。失礼ながらご夫婦にケンカをすることがないのかお聞きしました。

「それがねぇみんなに聞かれるし不思議がられるんやけど、お互い足らんところを補い合ってるからか、四六時中一緒でもしんどいと思ったことが不思議とないんです。意見が食い違うことはもちろんあるけど、気を使わずとことん話し合って、お互い落とし所を見つけるんです。」


お互いの良いところ、自分の足らないところを認め合っているからこその理想の夫婦像。これは見習わなくては。



正幸さんと朝子さん、二人三脚で育まれる室戸の漁業の歴史を語る伝統の味。


山本かまぼこ店の天ぷら。ぜひご賞味ください!


室戸の蒲鉾ハレの日セット
5,926円(税込6,400円)

人気の玉子入りだんごの卵は高知県北川村産、かまぼこトーフの玉葱は淡路島産を使用。地元高知から全国津々浦々こだわりの素材を、創業82年の熟練職人が手仕上げた逸品セットです。

遠洋マグロ漁船の食卓
5,093円(税込5,500円)

マグロ漁船に積み込まれていた冷凍かまぼこ 長年親しまれている室戸の味 遠洋マグロ漁業が盛んだった室戸。長期間の漁では、積み込んだ冷凍かまぼこが食事を支えていました。昔の味を残しながら最新冷凍技術で美味しさをアップデートしています。

室戸岬からの贈り物
6,389円(税込6,900円)

創業昭和13年、3代続く老舗蒲鉾店 手仕上げにこだわった職人の味 高知県室戸市で3代続く老舗の蒲鉾店のおすすめ蒲鉾をセットにしました。国産材料にこだわり農林水産大臣賞を2度受賞した「かまぼこトーフ」は必食です。

室戸の蒲鉾セット
5,278円(税込5,700円)

高知県室戸市の天ぷら(さつま揚げ)は、甘口が特長。人気の玉子入りだんごの卵は高知県北川村産、かまぼこトーフの玉葱は淡路島産を使っており、地元高知から全国津々浦々こだわりの素材を積極的に活用しながら、熟練職人の手仕上げで逸品群を生産しています。手軽で、食べやすくデザインされたパッケージも好評です。

室戸の蒲鉾セット(冷凍)
5,463円(税込5,900円)

創業83年・農林水産大臣賞を2度受賞。丁寧に手作りした職人の味を冷凍で地元高知産の素材にこだわり、熟練職人が仕上げた逸品セットです。出来立ての味をキープする独自の冷凍技術で、いつでも好きなときに美味しい蒲鉾が食べられます。

室戸のこだわり晩酌セット
4,167円(税込4,320円)

高知県室戸市産の新鮮なシイラを100%原材料に使用したフィッシュソーセージ風味の“魚ん棒”と、レンジで温めるだけの簡単手造りおでんのセットです。